義足のプロレスラー 谷津嘉章 レスリング公式戦に37年ぶり出場

病気で右のひざから下を切断した義足のプロレスラー、谷津嘉章さんがレスリングの公式戦に37年ぶりに出場しました。

66歳の谷津さんは、1976年に行われたモントリオールオリンピックのレスリングの代表で、その後、プロレスラーとして長年活躍してきました。

4年前には、糖尿病の影響で右のひざから先を切断して、義足をつけて生活するようになり、ことしに入ってからはNPO法人を設立して、障害者のレスリングの普及活動を進めてきました。

7月1日は普及活動の一環として、全日本社会人選手権の男子フリースタイル125キロ級に、障害のある選手として、ただ1人出場しました。

レスリングの公式戦は、1986年の全日本選手権以来37年ぶりの出場で、相手を傷つけるおそれがあるため、義足は外してマットに上がりました。

谷津さんは四つんばいのような状態で、相手に向き合って攻め手を探りましたが、ポイントは奪えず、0対10でテクニカルフォール負けを喫しました。

それでも、松葉づえを使ってマットの上で立ち上がると、会場からは大きな拍手が送られていました。

谷津さんは「試合をできたことは幸せなことだ。障害者の一つの見本になっていればいいと思う」と話していました。

そして、「障害者のレスリングは先例がなく、まだまだ先が長いと思うが、パラリンピックの競技になるように努力したい」と意気込んでいました。

谷津さんは、ことし10月の大会にも出場する予定だということです。